京洛四季暦

二四節気「穀雨」

穀雨とは

急に冷え込んだり夏のような陽気になったり変わりやすい春の気候が落ち着いて
新緑の栄える爽やかな季節になってまいりました。
4月19日から5月5日頃までの時期を24節気での「穀雨」といいます。
この時期にしっとりと降り注ぐ恵みの雨が穀物をすこやかに育てますようにとの願いが込められており
田植えの準備や新茶の収穫などが盛んになってきます。

八十八夜

立春から数えて八十八日目に当たる日のことで暦の上では、この日から夏になり農作業を始める目安になります。八十八という字を組み合せると「米」になることから、農事にまつわる祭りや祈祷などが盛んにおこなわれました。
茶摘みの最盛期でもあるこの日に収穫された茶葉は縁起物とされ、飲むと長生きすると言われています。また、漁村でも瀬戸内海地方では「魚島(うおしま)」と呼んで1年で最も多くの種類の漁獲が
出来るとして歓迎しました。

季節の食材

若鮎

鮎は寿命が一年であるため「年魚」、またその独特の香りから「香魚」とも呼ばれます。
秋に川の下流で生まれ海で育ち、やがて春になると川を遡(さかのぼ)って行きます。この時期の鮎を「上り鮎」「若鮎」と言います。秋には産卵のため川を下っていく鮎を「落鮎」「下り鮎」と呼びます。日本の四季の移り変わりと重なるような、鮎の一生が繰り返されます。

新ごぼう

参考:とり牛蒡

ごぼうが成長する途中の四月から六月頃に収穫します。この頃に色白で柔らかく香りの高い「新ごぼう」が出回ります。かつて中国から薬草として持ち込まれたゴボウを食用としたのは日本だけでした。
食物繊維がたっぷりで低カロリー身体に優しい食物です。

蕗(ふき)

日本原産の野菜で春になると野や山に自生します。それを採取した後、塩漬けや糠漬けにして冬の間の保存食としていました。現在は野菜として栽培され、各地方でそれぞれの特徴を持った風味豊かな食材として「蕗」を味わうことができます。

烏賊(いか)

中国の故事から水面に浮かんでいるイカを烏(からす)が狙い、そのイカが逆に長い足を伸ばして烏を海中に引きずり込む、恐ろし「イカ」の生態を表して「烏賊」と書くようです。日本でも、奈良時代の文献に「イカ」の名が残されており、古来より重要な食べ物であったことが裏付けられます。
現在も二十五種類ほどが流通し多くの料理で食されています。

鯵(あじ)

鯵の「参」の字は旧暦三月の意であるといわれており、今の五月から七月頃が旬です。
暖流に乗って日本近海を回遊し季節を問わず漁獲されます。この時期に獲れる鯵は小型から中型で脂乗りが良いです。

草餅

すり潰したヨモギを混ぜた餅で餡を包んだ和菓子です。ヨモギの旬は四月から八月頃。日本中の草地で見かけられます。多少の苦みはありますが香りがまろやかでビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で薬草としても活躍しています。

アスパラガス

原産は南ヨーロッパで、日本へは江戸時代に観賞用として伝わり「独活(うど)」に煮ていることから「松葉独活」とも呼ばれたそうです。大正時代に主に輸出用の缶詰めとしてホワイトアスパラが栽培され、昭和40年頃からグリーンアスパラが一般に広がっていきました。

麗春の京都の行事をご紹介します

曲水の宴

京都市伏見区にある城南宮の神苑「楽水苑」の平安の庭で模様される行事です。
曲水の宴は王朝貴族の遊びを再現したもので、琴の音が響く中、平安装束に身を包んだ歌人が
庭の小川の辺に着座し、川を流れ来る羽觴 (うしょう)が流れ来るまでに和歌をしたためます。
宴の間には白拍子の舞も披露され優雅な時間が流れます。

この時期おすすめのお料理

小鮎の抹茶揚げ

そろそろ旬を迎える琵琶湖産の小鮎を香り豊かな抹茶でサクッと揚げました。
新緑を感じさせるグリーンの色合いも味わいも初夏らしさが漂う一品です。

アスパラ牛肉巻き

春から初夏にかけて旬を迎えるグリーンアスパラガス。
さっと湯通ししたアスパラを牛肉で巻き、ほどよく焼き上げた一品です。
シャキシャキした食感が牛肉の旨味とよく合い鮮やかなグリーンがのぞく切り口は
食卓に季節感を運んでくれます。

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