京洛四季暦

敬老の日と九月の歳時記について

9月に入ると夏の厳しい暑さも幾分かやわらぎ秋の涼やかな気配が感じられますね。
夏休みも終わり寂しい気持ちもありますが、秋も美しい月を眺める、お月見や多くの美味しい旬の食材が楽しめる季節です。今回は9月の歳時記についてブログ担当者が集めた情報をもとにご紹介していきます。
※由来や起源については諸説ありますのでご了承ください

敬老の日

敬老の日の由来については諸説ありますがここでは一例をご紹介します。
西暦593年の9月15日に聖徳太子が大阪の四天王寺に「非田院(ひでんいん)」を設立しました。
「非田」とは「慈悲の心をもって貧苦病苦の人を救えば、福を生み田となる」という意味があり、悲田院は身寄りのない老人を収容する、今でいう老人ホームのような施設でした。敬老の日の意味は、この「非田院」の設立がルーツになっているという説があります。
また現代では「敬老の日」という名称に落ち着くまでに長い期間を要しました。1951年には「としよりの日」と一度定めましたがこの名称に各地で議論が起こりました。それを受け1963年に老人福祉法の制定に伴って「老人の日」に改正されましたが、この名称もまた語呂が悪いなどの理由から1965年現在の「敬老の日」となりました。「敬老の日」は以前は毎年9月15日でしたが、今では毎年9月の第3月曜と定められています。人生の先輩として長年にわたり社会や家庭のために働いてきた老人を敬愛し長寿をお祝いしましょう。

重陽の節句

菊の花にまつわる不老長寿の願いを込め、平安時代初めに中国から伝わった儀式です。
中国では奇数は縁起の良い数字とされ、その最大の九が重なる九月九日を祝いの日として祝いの宴を催したのが起源とされます。菊は宿根草です。株分けをして育てるといくらでも増え、いつまでも長生きすることから長寿の力があると信じられています。そのため、中国で菊は「仙人」の住むところに咲く花であり長寿の効果がある花とされています。
菊は福を呼び、不老長寿・無病息災・若返りを願う花として重陽の節句では欠かせない縁起の良い花となっています。菊を飾ることで家に福を呼び込み、菊の持つ長寿のご利益を身体に取り込んで健康になるという意味で香りや味をたのしみます。

十五夜

日本では太古の昔から月を神聖視していたようです。十五夜ではありませんが、縄文時代には「月を愛でる」風習があったといわれています。
十五夜は平安時代に中国から伝わり、貴族の間に広まりました。月を見ながら酒を酌み交わし、船の上で詩歌や管弦に親しむ風流な催しだったそうです。貴族たちは空を見上げて月を眺めるのではなく、水面や盃の酒に映った月を愛でました。庶民が広く十五夜を楽しむようになったのは、江戸時代に入ってからだといわれます。貴族のようにただ月を眺めるのではなく、収穫祭や初穂祭など農事の意味合いが大きかったようです。庶民の間では月に秋の収穫物を供え、「五穀豊穣」を祝い、実りに感謝する十五夜の祭りとして発達しました。十五夜のころは稲が育ち、間もなく収穫が始まる時期。無事に収穫できる喜びを分かち合い感謝する日でもありました。

縁起の良い里芋

里芋は一株で子芋・孫芋と、どんどん増えることから古くから子孫繁栄の縁起物とされ数々の祝い事に
用いられています。中秋の名月には里芋を供える習慣から別名「芋名月」ともいわれています。

稲穂を飾る

ススキは神様を呼ぶ依り代(よりしろ)を表しているといわれています。依り代とは精霊がよりつく場所やモノのこと。本来の依り代は稲穂ですが、この時期には稲穂が無かったことから形状が似ているススキを使うようになったそうです。また、昔からススキの鋭い切り口が魔除けになると考えられてきました。月見に供えたススキを玄関の軒先に飾ると、その一年の無病息災に繋がるといわれている。
稲穂には実りの多い年になりますようにとの願いもあります。

秋の彼岸

彼岸は春と秋の2回あり春分・秋分の日を中日としその前後3日間、計7日間を言います。2023年は9月20日から9月26日までの7日間となります。春に供える「ぼた餅」、秋に供える「お萩」、どちらも同じものですが季節の花「牡丹」と「萩」にちなんでいます。また「小豆」は魔除けの意味があり御先祖に供えます。

その他、九月の歳時記

勅祭岩清水祭

京都府八幡市の石清水八幡宮で例年9月15日に行われる例祭です。
京都の葵祭、奈良の春日祭とともに日本の三勅祭に数えられます。
また、岩清水放生会(いわしみずほうじょうえ)とも言われ、貞観5年(863)に僧安宗(あんじゅ)
が催したのが最初と伝えられています。放生会は「生きとし生けるもの」の霊を慰めるための行事で、深夜に松明(たいまつ)や、ろうそくの明かりだけで、平安時代の王朝行列さながらに、神霊の渡御(とぎょ)があり、秋の一日を楽しみ夕闇の中を山頂へ帰ります。

※こちらのページの内容は2023年8月時点のものです

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