季節の室礼

10月 十五夜・十三夜

10月 十五夜・十三夜

月待ちの室礼 ~神無月~

月といえば秋の月をさすように、この時期とりわけ美しく夜空に冴えわたります。古くから先人は、月の満ち欠けで月日を知り、農事や漁業の目安としていました。また、欠けても満ちる月は復活と不死の象徴であると考えられ、信仰の対象でもありました。
お月見といえば十五夜ですが、加えて「十三夜」の月も愛でるのは日本独自の風習です。その昔は十五夜、十三夜の片方だけを観月するのは「片見月」として忌み嫌われました。満月でなく少し欠けた月を愛でるのは日本人の美学。どちらも収穫に感謝し豆や栗を供えることから、「豆名月」「栗名月」とも呼ばれます。
十三夜にちなみ、月見団子は十三個。赤く色づく柿は稔りの喜び(喜来・よろこびきたる)を表します。

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山本 三千子(やまもと みちこ)

新潟県十日町市生まれ 「室礼三千(しつらいさんぜん)」主宰 南宗瓶華四世、故・田川松雨氏に師事し室礼を学び、室礼三千を設立。 数々のカルチャースクールで講師を務める他、雑誌、新聞、テレビなどで幅広く活躍。

室礼三千