「小鮎」についてのご紹介

淡く上品な初夏の便り「小鮎」
爽やかな風が吹き抜け、若葉が目に眩しい初夏のころ。
この時期の、京都の人々が心待ちにする食材のひとつに「小鮎」があります。
小鮎とは琵琶湖で獲れる鮎を指し、他の地域の鮎とは違う生態をしています。
一般的に鮎は、川で生まれ海へと下り、また産卵のために生まれ故郷の川へと帰ってきます。
一方で、琵琶湖の鮎の一部は生涯を湖内で過ごします。
琵琶湖の鮎は成魚でも5~10cmほどまでしか成長しないため「小鮎」と呼ばれ、その味わいは繊細にして淡白。その淡く優しい風味を感じると、京都の人々は「あぁ、今年も夏が近づいているのだなぁ」と感じるものです。
小鮎の味を決める鮮度と漁法
全国的には出回ることが少ない小鮎。その理由には、何より鮮度が挙げられます。
水揚げされたその瞬間から小鮎の鮮度は落ちていくため、長距離を流通させると炊いた時などに身が割れてしまうことも多く、かつては琵琶湖周辺の街や、そこからほど近い京都でのみ召し上がることができた食材でした。
そのため今でも旬になると、京都の魚屋の店先に小鮎が並びます。
海が遠く、流通が発達するまでは新鮮な魚が入りづらかった京都ですから、ここに住む方は昔から旬を告げる新鮮な小鮎との出会いを心待ちにしていたのでしょう。
京都人は、現代でも旬の味への探究心や初夏を待ち侘びる心を持ち続けています。
美濃吉では、琵琶湖の西岸にある堅田や東北岸にある米原などの漁港と直接取引を行い、その日の朝の獲れたてを調理するだけでなく、鮮度を保ったまま冷凍・配送することで、京都の味をお客様へお届けしております。
また、琵琶湖では小鮎を獲る「漁法」にもいくつかの種類があります。
小鮎は、夜間になると岸辺近くに餌を求めて集まり、夜明けとともに沖へと戻っていきます。この習性を利用し沖で大型の網を使って群れた小鮎を掬い取るのすくい漁。
沖と岸辺の間に魞(えり:定置網)を仕掛けて捕えるのがエリ漁です。この漁法では、船で魚を追い立てることなく壺状の網の奥へと誘導します。さらに水揚げまで一晩水中で活かしておくため、小鮎もストレスを感じにくく、鮮度も高く保たれます。
美濃吉で旬の小鮎を堪能してみては?
仕入れにも調理にも気配りが必要な小鮎。それだけに、京料理の職人にこもる思いもひとしおです。

愛らしい姿と優しい味わいを心ゆくまで楽しむことができる一品としてご紹介したいのが「小鮎煮」。素材の持ち味を十分に活かすための調理の秘訣は手を加えすぎないこと。
形を決して崩さないように砂糖・醤油・みりん・酒のみでゆっくりと丁寧に、飴色になるまで炊き上げた伝統の一品です。甘辛さの奥に感じる、ほっこりとしたほのかな身の旨みをお楽しみください。

小鮎に同じく旬を感じる抹茶を合わせた「小鮎の抹茶揚げ」も自慢の逸品です。香り高く、ほろ苦い抹茶で小鮎の身を包んで揚げ、鮎の繊細な香りを閉じ込めました。初夏の山に育つ、新緑を切り取ったような姿の鮎を一口噛むと、衣の中から立ち上がる、ホクホクとした歯応えの身のうまみと香りが抹茶のコクと重なり合って風味豊かに広がります。

からりと揚げた鮎を、甘酸っぱい南蛮だれに漬け込んだ「小鮎の南蛮漬け」も人気がある一品。少し汗ばむ時期の食卓にも最適なさっぱりとした涼やかな酸味と、鯵やワカサギとは一味違う上品な小鮎ならではの風味をお楽しみください。
京料理において小鮎は、筍から始まる春の献立を受け、やがて盛夏の川鮎へとつながる季節の橋渡し。愛らしい姿で、移りゆく季節を泳ぐ小鮎は、皆様にぜひお試しいただきたい旬の食材です。今年も美濃吉では、初夏を映す小鮎のお料理をご用意して皆様のお越しをお待ちしております。雄大な琵琶湖が生み、長年滋賀や京都の人々が愛し続けた小鮎の魅力と出会ってみませんか?



