2月の旬食材 鳥取県産 若松葉蟹

知る人ぞ知る、鳥取産の「若松葉蟹」

殻が柔らかくてみずみずしい旨味を持ち、厳冬に身入りが良くなります。脱皮して間もない「松葉蟹」は「若松葉蟹」と呼ばれることをご存じですか。甲羅や殻が柔らかくて食べやすく、甘い身もツルッと引き出せます。近年、かに水揚量日本一として「蟹取県」を名乗る鳥取県。中でも日本一の松葉蟹の水揚げを誇る、鳥取県岩美町の網代漁港の水産物市場から、「若松葉蟹」競りの様子をお伝えします。

「若松葉蟹」は鳥取県・網代漁港で水揚げ

午前8時、鳥取県岩美町の網代漁港にある市場で、鐘鳴らしの号令とともに競りがスタート。かにをはじめ魚介類はトロ箱に並べられ、競りを待っています。かにがトロ箱に裏返しで置いてあるのは、逃げないようにするためと、かにの関節の形から裏返しに入れた方がたくさん入るからだそうです。2016年の初競りでは、初水揚げに1枚130万円の初競り価格をつけるなど、松葉蟹は高級ブランド品として価値を高めています。そんな松葉蟹に比べ、若松葉蟹は「若い」だけにお値打ち価格。山陰地方の食卓に上ることも多い、愛される冬の味覚です。

漁期は厳密。解禁日が毎年ニュースに

鳥取県では松葉蟹を底曳網漁業で漁獲、11月6日から翌年の3月20日までが漁期で、解禁日は毎年ニュースになります。寒海の水深200~350メートル以上の泥底域に生息している松葉蟹を、袋網で3~5日間かけてすくい獲り、船の生け簀に入れて活がにとして水揚げするのです。松葉蟹を守るため、鳥取県では甲巾9cm以下の雄がにの漁獲禁止や、漁船あたりの漁獲量が定められているため、定数に達したら港に戻ります。若松葉蟹の漁期は1月20日から2月28日までと松葉蟹より短く、殻が柔らかいため松葉蟹と比べてデリケート。なかなか市場には出回りません。

「松葉蟹」と「若松葉蟹」の違い。

「松葉蟹」という名称は山陰地方のもので、福井県産は「越前がに」、京都は「間人がに」など、水揚げされる地方によって呼称が変わります。これらはみんなズワイガニの雄。松葉蟹という名前の由来は、細長い脚の形や脚の肉が松葉のように見える、焼いたり茹でて身を出すと松葉のように身が割れる、漁師が浜で松葉を使って焼いたなど、諸説あります。若松葉蟹は、脱皮してまだ甲羅が柔らかく水分量が多いズワイガニを指し、松葉蟹ほど身が詰まっていませんが、旬になると身入りもよくなって来るので食べ応えも十分。

家で味わう、鳥取名産「若松葉蟹」

天明2年(1782年)、鳥取藩の公文書控えに贈答品として「松葉蟹」の記載が残っているほど、鳥取では古くから松葉蟹を食する歴史がありました。しかし年々貴重なブランド品として高価になるため、ご家庭で買って食べるなら、若松葉蟹という方が多いようです。

※こちらのページの内容は2020年2月時点のものです。現在は鳥取産若松葉蟹を使用しておりませんのでご了承ください。

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